【現役が解説】理学理学療法士が貧乏になる理由【劣化公務員＋供給過多】

医療従事者がどうしても耳にしてしまうこと、それは医療スタッフがオワコンではないかというもの。当然私も耳にしたし、夜も眠れずに調べまくったが、情報があまりにも少ないのが実情。

超少子高齢化社会になりつつなる日本において、医療や介護の需要が大きくなっているという情報がある一方で、供給過多というデータがあるのも事実。

はたして理学療法士はオワコンなのか。今回はあらゆる視点で考えてみようと思う。

大前提：医療業界はブラックになりやすいビジネスモデル

まず、共通認識として覚えてほしいのが理学療法士とかいう以前に、医療業界はブラックになりがちということ。

これは医療業界で働いている人が全員性根が腐っているとかではなく、医療の仕組み上、そうならざるを得ないのではないのではないかというのかというのが私の考え。これは、病院を会社として考えればわかりやすい。

病院の収入源は主に診療報酬というものであり、この診療報酬は国が決めている。国が「この治療をしたら○○円あげる」って病院に言ってる感じ。

このシステムが問題なのが、いくら腕のいい人間が治療をしたとしても、病院として得られる収入は変わらないということ。

つまり、病院経営者としてはスタッフの給料を上げたくないというのが本音。なぜなら儲けが増えてないから。スタッフ目線では、いくら市場価値を上げたとしても、それを給料に反映してくれることはほぼないと映る。

ではどうやって儲けを増やそうとするかというと、治療回数を増やすかサビ残させるかしかない。人々の命を扱う病院が金儲けを考えるとはいかがなものかという意見はごもっともだけど、綺麗ごとだけでは病院を維持することすらできないのも事実。そして、そのシワ寄せは現場の人間が一手に背負うしかない。

理学療法士の給料は安い

そして、それは理学療法士も例外ではなく、理学療法士の給料は平均で432万円、中央値に至っては351万円。安い。

医療従事者の中でも目立って安い。

夜勤手当や危険手当の対象になる業務がないことや、平均年齢が他と若いなど、ほかの職種と条件がすこし違うものの、生活を考えると物足りない感があるのは事実。現場の理学療法士として生きていく以上、お金持ちには絶対になれないというのは覚悟しておく必要がある。

国が診療報酬という名で私たちの財布を握っているから当然。実質公務員みたいなもんだし、さらに病院がそこから吸い上げるから当然っちゃ当然。劣化公務員と名付けよう。

実際に体験したブラック待遇

いくら言ってもそれは机上の空論でしょ？実際の現場を知らない人にあれこれいわれてもなあ…って人、お待たせしました。ここからは2025年現在、パートとして勤務している人の話を紹介したい

勤務実態は以下の通り

• 勤務は08：30～12：30（書類上）
• 実際には07：50には出勤して情報収集を開始、つまりは前サビ残
• 時給は1,200円（サビ残込だと実質1,000円くらい）

パートとはいえ、国家資格たる理学療法士の待遇がこの始末。終わってる。

ちなみにこの待遇で働いていた先輩の大学院生は、この業界に嫌気がさして一般の大企業に就職するそう。すべての病院がこの待遇というつもりはないが、こんな病院が多いのも事実。

正社員はこれに加えて勉強会や学会もあるんだから、考えただけで恐ろしくなる。

実際私もこの闇を見て民間就職を考えるようになった。

理学療法士は供給過多になりつつある

そして、ただでさえブラックな環境になりやすい理学療法士がさらにその劣悪さに拍車をかける要因があって、

それが理学療法士になる人が年々増えているということ。

それの何が問題がというと、ただでさえ安い給料がさらに安くなってしまうから。

厚生労働省の推計によると、理学療法士は2026年には供給過多になり、2040年には需要の1.5倍のなるんだとか。

つまり、2つの椅子を3人が奪い合う未来になるということ。こんな状況では、経営者はどれだけ給料を下げても人が集まってくるから儲けもの。言い換えれば、どれだけマズイ餌でも食いついてくる魚がうじゃうじゃいるみたいなもん。

労働者としてはたまったもんじゃない。

供給過多の諸悪の根源は専門学校の乱立

そして、その諸悪の根源は理学療法士の養成校の乱立なんだ。

なぜ養成校の数が増加しているのかというと、養成校は儲かるから。

理学療法士養成校は、必要とする設備が他の職種に比べてかなり安上がり。CTやMRIなど、1台10億はくだらない機械が必要ない。

そして、国家資格を取れる養成校であることを餌に学生を釣れば、毎年吸い上げる学費でそれはそれは大儲け。

事実、平成元年に約1,000校だった養成校数は、今や約15,000校。いくら超高齢化社会の日本とはいえ、これだけの理学療法士製造マシーンが毎年1万人以上養成するんだから、供給過多になるのは言うまでもない。

日本理学療法士協会も苦慮してる

当然、この問題は理学療法士を束ねている協会も察知していて、

介護施設やスポーツ現場など、理学療法士が活躍できる現場を発掘しているよう。

だけど、どうしても供給に対して不十分であることも事実。協会としては理学療法士が増えていることは喜ばしい事であることはあるとは思うけど、事実、現場の人間が苦しんでいるのだから、一現場の人間としてさらなる奮起を期待したいところ。

こう見ると、政治に多大な影響力を持っている日本医師会の恐ろしさが際立つ。利益を生みにくいビジネスモデルで厚遇を国から診療報酬の引き上げという形で勝ち取っている。その気になれば、日本人の生命をストライキという形で人質をとれるから、国も便宜を図らざるを得ないのだろう。

やり方はどうであれ、診療報酬というシステムで病院が動いている以上、理学療法士協会も見習う部分はあるのかもしれない。

理学療法士の国会議員もいて、理学療法士の待遇改善を訴えている人もいるけど、なかなかうまくいってない。私は応援しています。

理学療法士の椅子取りゲームは過酷になっている

総じて、理学療法士を取り巻く環境はどんどん厳しくなっていると言わざるを得ない。

不用意にこれから理学療法士になりたい人を脅したいわけではないが、これが現実。

理学療法士として食べていくには、どこの業界でも同じだが、自分の市場価値を上げるしかない。病院や施設側から選ばれる人材になるか、接骨院として開業して集客できる人間になれるよう、日々の自己研鑽を頼りにすべきだろう。

自己研鑽。。。勉強会？

うう、頭が！。。。

つらいよお。。。

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